はじめてのマネジメント

本物のピッチ資料を読んでみよう

実際の会社が、投資家(会社にお金を出す人)に向けて作った資料を集めたページです。第13回と第14回でピッチ資料を作るときの見本として使えます。

このページで覚えるのは1つだけ

本物のピッチ資料にも、授業で作る7枚と重なる問いが入っています。何をやるのか(一言で)、誰のどんな困りごとか、市場はどのくらいあるか、なぜ勝てるのか、どう儲けるのか、集めたお金の使いみち、誰がやるのか、の7つです。資料によっては、7枚に無い問いも入っています(下で見る東証の項目の「リスク情報」など)。

資料を読むときは、いま読んでいるページが、この7つのどれに当たるかを探します。

資料は3種類ある

成長可能性資料は、正式には「事業計画及び成長可能性に関する事項」といいます。

創業期のピッチは未来の話、決算説明資料は過去の結果の話です。成長可能性資料はその中間で、未来の計画と進み具合の両方を毎年書き直します。

資料1 LinkedInの資金集めのピッチ資料(2004年・英語)

LinkedIn(仕事のつながりを作るSNS)が、2004年にベンチャーキャピタルから2回目の資金を集めたときの資料です。創業者のReid Hoffman本人が、自分のサイトで公開しています。

見てほしい点は2つです。

英語が難しければ、各スライドの見出しだけ読んでみてください。授業の7枚のどれに当たるか、たいてい見当がつきます。

資料2 日本の上場スタートアップの「事業計画及び成長可能性に関する事項」

日本語で読めるピッチ資料の実物です。東証グロース市場の会社は、上場するときにこの資料を出し、その後も年1回以上、進み具合を反映して書き直します。

書く項目は東京証券取引所が決めています。授業の7枚とは、おおよそ次のように対応します。

東証が決めた項目授業の7枚でいうと
ビジネスモデル何をやるのか(一言で)、どう儲けるのか
市場環境市場はどのくらいあるか、なぜ勝てるのか
競争力の源泉なぜ勝てるのか、誰がやるのか
事業計画集めたお金の使いみち
リスク情報7枚には入れていない。発表のあとの質問で出てくることがある

探すときは、会社の公式サイトのIR(投資家向けの情報)のページで、この資料名が付いたPDFを探します。見つからないときは、会社名と資料名をそのまま検索すると、たいてい出てきます。

同じ会社の、上場したときの版と最近の版を並べて読むと、計画どおり進んだところと進まなかったところを、会社自身がどう説明しているかが分かります。

資料3 上場企業の決算説明資料

決算説明資料は、約束した結果がどうだったかを説明する資料です。スタートアップのピッチと違い、良い数字も悪い数字も出します。

第8回では、トヨタ自動車の、売上が増えたのに利益が減った例を見ました。逆の形もあります。任天堂の2027年3月期第1四半期(2026年4月から6月)は、売上高が前の年の同じ時期より9.5%減ったのに、本業のもうけを示す営業利益は150.5%増えました。決算短信には、こうした動きの理由の説明が載っています。

読むときは、次の順番で進めると迷いにくくなります。

  1. 最初の数ページにある、まとめのスライドだけ読む
  2. 売上と利益が、前の年より増えたか減ったかを確かめる
  3. 会社がその理由をどう説明しているかを、1文で書き出す

【考えてみてください】資料を読むときの5つの問い

資料を1つ選び、次の5つに答えてみてください。全部を読む必要はありません。答えが見つかったページ番号もメモしておくと、あとで見返せます。

最後に、1から3をつなげて「この会社は、〇〇に困っている△△に、□□を提供し、◇◇からお金をもらっている」という1文を書いてみましょう。

答えが見つからない問いがあっても大丈夫です。資料に書いていなかったということも、ひとつの発見です。

読むときの注意

上場会社のIR資料は、会社が自分で公開している本物です。ただし数字は毎年変わるので、読むときは資料の日付を確かめてください。

リンク集

資料の著作権は、それぞれの発行元にあります。リンクが切れていたら、資料名と会社名で検索してください。

英語のピッチ資料と作り方ガイド

日本の上場スタートアップの「事業計画及び成長可能性に関する事項」

上場企業の決算説明資料

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