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10/26・10/30

買う人は何人いるのか

先に読んで構いません。この回の例は、セルフ写真館を仮に置いて書いてあります。10月に題材が決まったら、自分たちの企画に合わせて書き直します。数字も例なので、そのまま使わないでください。

この回で分かるようになること

この回で覚えるのは2つだけ

  1. 同じ数を、二通りのやり方で出す
  2. 数字には、出どころと時点を添える

この2つだけです。 三段階の名前も、計算の細かい手順も、やってみれば身につきます。

この回で自分たちの企画に当てはめる計算例は、すべて架空の数字です。 説明のために作ったもので、どこかの会社の実際の数字ではありません。自分たちの数字に置き換えて読んでください。

統計から引いた数字は別です。 郡山市の人口のように、出どころと時点を書いてあるものは、実際に公表されている数字です。

なぜ二通りで出すのか。 片方だけだと、間違っていても気づけないからです。

計算は、間違っていても答えが出ます。桁を1つ間違えても、割合を取り違えても、数字は出てきます。 もう一方の計算と突き合わせて初めて、おかしいと分かります。

第12回でも、二通りで出して突き合わせます。 ただし、あちらは同じ数を別の道すじで出すので、合わなければ計算の間違いです。この回の二つは、来てくれそうな人の数と、自分たちが受けられる上限です。 別のものを数えているので、食い違うことがあります。食い違ったら、どちらが小さいかを見ます。

「たくさんいる」では数えたことにならない

前の回で、実際に人に話を聞きました。その人と同じような人が、何人いるのか。 この回で数えます。

「若い人はみんな使う」では数えたことになりません。何人か言えないと、いくら売れるかも決まりません。

大きい数字は、そのままでは分かりません

数え始める前に、1つやっておきます。大きい数字を、自分の感覚に戻す練習です。

郡山市 令和8年度の一般会計当初予算1,447億2,000万円この額が大きいのか小さいのか、そのままでは分かりません÷ 314,736人(市の人口)市民1人あたり 約46万円自分の1年ぶんの生活費と比べられる÷ 145,649世帯(令和8年8月1日現在)1世帯あたり 約99万円÷ 365日1日あたり 約3億9,600万円毎日それだけ動いている大きい数字が出たときほど、割り戻してください
同じ額を、身近な単位に割り戻したものです。1人あたりまで下ろすと、自分の生活費と比べられる大きさになります。

そのままでは、大きいのか小さいのか分かりません。 割り戻すと、急に分かります。予算は郡山市公式ウェブサイト(令和8年3月定例会提出議案概要)、人口は同じサイトの令和8年8月1日現在の値です。

割り戻し方は3つあります

3つ目がいちばん手軽です。 「利益は売上の4割」なら、「売上100円のうち、40円が残る」と言い直します。

この回で出す数字にも、やってみてください。 「市内に5,000人います」で終わらせず、「5,000人ということは、1日に何人来る計算になるか」まで出します。 そこで初めて、多いのか少ないのかが分かります。

割り戻すと、間違いも見つかります

桁を1つ間違えたときに、いちばん早く気づけるのが割り戻しです。

「市内に50万人います」と出たとします。割り戻すと、郡山市の人口314,736人より多いことになります。 途中で桁を間違えたか、市外の人まで数えています。

「1日に3,000人来ます」と出たとします。 1日8時間なら、1時間に375人。10秒に1人です。 自分たちで対応できるでしょうか。

大きい数字が出たときほど、割り戻してください。 大きい数字は気持ちがよいので、そのまま通してしまいます。

数える単位を先に決める

計算に入る前に、何を数えるのかを1つに決めてください。 人数か、組数か、件数か。

セルフ写真館は「組」で数えます。 2人で来ても3人で来ても、使うのは1部屋で、払うのは1回ぶんだからです。人数で数えると、売上と合わなくなります。

単位は、お金を払う単位に合わせます。 ここがずれると、この先の計算が全部ずれます。

単位が決まらない企画は、この先ずっと数えられません。 決まらないときは、単位が決まる形に企画のほうを直します。

レジで1回お金を受け取るのは、何に対してかお金が動く単位数える単位1部屋を1時間使ってもらう組1個売る個1回来てもらう回月ぎめで払ってもらう人(契約者)ここがずれると、この先の計算が全部ずれます
左が決まれば、右は自動的に決まります。単位が決まらない企画は、この先ずっと数えられません。

このあとの上から絞る計算と、足し上げる計算で、単位を揃えてください。 例では、上から絞るほうが「人」、足し上げるほうが「組」で出てきます。揃えないと比べられません。

揃えるなら、お金を受け取る側の単位に揃えます。 組で受け取るなら、人数のほうを組に直します。逆にすると、売上の計算でもう一度直すことになります。

揃えるときは、換算の根拠を書いてください。 「1組は平均2人」と置くなら、その2人はどこから来た数字か。 第3回で聞いた話にあるなら、それが根拠です。

1人が1年に何回も来る企画なら、回数もかけます。 ラーメン屋やコンビニは、1人が年に1回だけ来るわけではありません。人数 × 1人が1年に来る回数 = 1年に来る回数(杯数や件数)。回数を入れずに人数のまま比べると、何倍もずれます。

回数は、第3回で聞いた「最近いつ行ったか」「月に何回くらいか」から置きます。第5回でも、この回数を使います。 例のセルフ写真館は、1年に1回撮る人を数えているので、回数はかけていません。

「3年で7割」は、何の7割か

ラーメン屋を調べると、「3年で7割が潰れる」という数字が出てきます。

もとになった調査を見ると、集めたのは、閉めた店でした。店をたたむときに設備を次の人へ譲る、その募集に出た4,121件。2016年から2024年までの9年ぶんです。集めた4,121件を、業態ごとに分けて数えています。業態ごとに見ると、閉めたラーメン店のうち営業3年以内だった店が62.65%、カフェでは61.79%。(シンクロ・フード「飲食店ドットコム」の集計、2025年1月公表)

この62.65%は、閉めたラーメン店の中での割合です。開いた店のうち何%が閉めたか、ではありません。

比べようとすると、比べられない

では、開いた店のほうはどうでしょうか。

日本政策金融公庫の調査に、2016年に開業した企業を2020年末まで追った数字があります。公庫の融資を受けて開業した「飲食店、宿泊業」563社のうち、2020年末までに廃業したのは14.7%でした。(日本政策金融公庫「新規開業パネル調査」)

62.65%と14.7%。どちらもラーメン屋の話に見えます。でも、並べられません。

数えた集まりが違い、業種のくくりも違い、片方には「審査を通った店」という条件が付いています。

ラーメン屋だけを分けて、開業から何年で閉めたかを数えた数字は、この調査にはありません。

自分たちの数え方でも、同じことが起きる

これから、買う人の数を出します。そのときに「○%」を使うことになります。

その%には、確かめることが1つあります。何の中の%か。

3つとも「○%がラーメンを好き」と書けます。でも、かけ算の相手が変わります。

今回やること

自分たちが使う数字を1つ選んで、その横に分母を書いてください。

「20%」ではなく「アンケートに答えた120人のうち20%」と書く。分母が分からない数字は、そう書いてください。「分母が分からない」と書けたら、それで一手進んでいます。

上から絞る計算

統計の大きな数字から、割合をかけて絞っていきます。

三段階に分けて数える

いきなり「何人いるか」を出そうとすると止まります。大きいところから3回に分けて絞ります。

全体日本中で、買いうる人届く範囲来られる範囲で、買う人当面取れる分うちを選ぶ人上から絞る統計に割合をかける足し上げる1日の能力から積む二通りで出して、突き合わせる
3つ目がいちばん小さくなります。同じ数を二通りで出して、食い違ったらどちらの前提が怪しいかを見ます。

小さくなって当たり前です。 1年目から全国に届くと書いてあったら、どこかに無理がないか見直してみてください。

「小さいと投資家に見てもらえないのでは」と思うかもしれません。 逆です。大きい数字だけを出すと、その根拠を聞かれます。 1年目に何人来るかを言えない人が、その先の話をしても、確かめようがないからです。

この3つには名前が付いています。外側から順に TAM(タム/全体の市場)、SAM(サム/届く範囲)、SOM(ソム/当面、現実に取れる分) です。SOM の期間は決まっていませんが、この授業では1年目で数えます。また、ふつうは3つとも金額で言います。この授業では人数で数えますが、人数 × 1人あたりの金額にすれば金額になります。投資家に説明する場では、この3文字で聞かれることがあります。中身はいま書いたとおりなので、名前は覚えなくても、聞かれたら答えられます。

3つを、1つずつ

いちばん外側(全体の市場)。 その困りごとを持っている人が、世の中に何人いるか。ここは、公表されている統計から出します。 大きい数字になります。

真ん中(届く範囲)。 そのうち、自分たちの店まで来られる人、自分たちが届けられる人で、その種類のものにお金を使う人は何人か。場所で絞る、年齢で絞る、届け方で絞る。この段では、どの店で買うかはまだ問いません。 近くのほかの店で買っている人も、ここには入ります。

いちばん内側(当面、現実に取れる分。この授業では1年目)。 そのうち、1年目に自分たちの店を選んで買ってくれる人は何人か。ここがいちばん小さくなります。

届く範囲との違いは、「自分たちの店を選ぶかどうか」です。 近くに同じようなものを売る店があれば、お客さんは分かれることが多いです。その企画があることを知らない人も、選びようがありません。 チラシを配る範囲、SNSで届く範囲、通りがかりで気づく範囲。知ってもらえない人は、ここで落ちます。

なぜ3つに分けるのか。 1回で「何人いるか」を出そうとすると、大きい数字と小さい数字が混ざるからです。 「日本中に何万人もいる」と「うちの店には1日10人来る」を、同じ紙の上で比べられません。3段階に分けると、どこで大きく減ったかが見えます。

いちばん減るところが、この企画の要になります。 届ける方法で減っているなら、届け方を変えれば増えます。買う人の割合で減っているなら、そもそも欲しがられていないかもしれません。

名前について

TAM・SAM・SOM は、覚えなくて構いません。 ただ、最終回のピッチで聞かれることがあります。 そのときは「全体では◯人、届く範囲は◯人、1年目は◯人です」と答えれば足ります。3文字で答える必要はありません。

この3つを分けるのは、この授業だけの決まりではありません。 事業の計画を人に説明する場では、どこまでを相手にしていて、どこから先はまだ相手にしていないのかを分けて言うのが普通です。分けずに「市場は大きいです」とだけ言うと、何も言っていないのと同じになります。

例で、上から絞ってみます

セルフ写真館なら、こう降りていきます。

  1. 郡山市に住んでいる人の数。 市の「統計こおりやま」に、地区別・5歳ごとで載っています
  2. そのうち、撮りに行きそうな年齢の人。 何歳から何歳までにするかは自分で決めます。決めた理由を書いてください
  3. そのうち、1年に1回でも撮る人の割合。 ここが分かりません。第3回で聞いた人のうち何人がそうだったかを使います
  4. そのうち、自分の店まで来られる範囲の人。 ここまでが届く範囲です
  5. そのうち、近くのほかの店ではなく、自分の店を選ぶ人。 ここが当面取れる分です。近くに同じような店がいくつあるかを、地図で数えます

5番目の割合は、店の数から置くのがいちばん簡単です。 近くに同じような店が2つあれば、自分たちの店を足して3つ。3つの店で分け合うと考えて、3分の1です。 1年目は、まだ知られていないぶん、これより少なくなることが多いです。そう書き添えておけば足ります。

3番目のように、統計に無い割合が出ることが多いです。 そこで止めずに、自分が聞いた範囲の数字を使って、その旨を書いてください。「5人に聞いて2人だったので4割」と書けば、読む人は弱い数字だと分かります。

実際に、数字を入れてみます。

出発点は、郡山市の人口 314,736人(郡山市公式ウェブサイト、令和8年8月1日現在)。

上から絞ってみます(割合は仮の値)郡山市の人口314,736人確定値撮りに行きそうな年齢約94,000人仮に3割1年に1回でも撮る人約38,000人5人に聞いて2人(4割)店まで来られる範囲(届く範囲)約7,600人仮に2割近くの店ではなく、うちを選ぶ(当面取れる分)約2,500人店が3つで3分の1(仮)2,500 ÷ 365日 = 1日あたり約7人いちばん減ったのは「来られる範囲」。ここがこの企画の要になります
出発点だけが確かめた数で、あとの割合はすべて仮です。弱いところが分かっていれば、次に何を確かめるかも決まります。

約2,500人まで下りました。 出発点の314,736人と比べると、100分の1以下です。

来られる範囲を広げれば増えますが、そのためには場所を変えるか、届け方を変える必要があります。 第5回で扱うのが、まさにこれです。

1日約7人。 これなら、多いか少ないかが分かります。そして、自分たちがその7人に対応できるかどうかも、すぐ分かります。

割合をかけるたびに、その割合の出どころを書いてください。 「たぶん半分くらい」でかけた数字が2つ続くと、答えは最大で4倍ずれます。

割合をかける回数は、少ないほうが確かです。 かける割合が増えるほど、ずれが重なります。2倍ずれた割合が2つあれば、答えは4倍ずれます。届く範囲までは、3回までにおさめてください。 自分の店を選ぶ割合は、地図で数えた店の数から出すので、この3回には数えません。

出発点の数字は、公表されているものにしてください。 郡山市の人口のように、誰でも同じ数字にたどり着けるところから始めます。 出発点が「たぶん」だと、そのあと何をかけても「たぶん」のままです。

出した数字を、出発点と並べてみる

絞り終わったら、出した数字が出発点の何パーセントになったかを出してみてください。

上の例なら、314,736人に対して約2,500人で、0.8%です。桁は合っています。

桁が違っていたら、かけた割合のどれかを間違えています。 10倍ずれているなら、どこかで10倍か10分の1にしています。 上から順に見直してください。答えを作り直すより、割合を1つ見つけるほうが早いです。

第1回でも、売上を掛け算で書きました。 LINEヤフーの広告で、表示1回あたりで払ってもらう形なら、「広告が表示された回数 × 1回あたりの単価」です。あのときは、しくみが分かればよい場面でした。

この回では、そこに数を入れ、出発点を公表値にします。 この回で出す数字は、第5回で「成り立つか」を考えるときの材料になります。 材料にするなら、出発点から辿れるほうが強いです。

ここで迷う人が多い ① どこから絞ればよいか分からない

止まり方は3つです。

1つ目。出発点を何にすればよいか分からない。 自分たちが届けられる範囲の、いちばん外側から始めてください。 市内でやるなら郡山市の人口。学校の中でやるなら学校の人数。全国から始めると、絞る回数が増えて、そのぶんずれます。

2つ目。割合が1つも分からない。 第3回で聞いた人の数を使ってください。 「5人に聞いて2人だったので4割」。弱い数字ですが、出どころのある数字です。 そう書いておけば、読む人にも弱さが伝わります。

3つ目。絞ったら小さくなりすぎて不安になる。 小さくて構いません。 第5回で、その数で成り立つかどうかを見ます。成り立たないと分かることが、次にやることを決めます。

むしろ、小さくならない絞り方のほうが危ないです。 「郡山市の人口の8割が対象です」と出たら、絞れていません。 誰にでも当てはまる条件しかかけていない、ということです。

絞る条件は、その人が浮かぶものにしてください。 「20代」ではなく「一人暮らしを始めたばかりの学生」。第2回で描いた人物像が、そのまま絞る条件になります。

足し上げる計算

もう一方は、自分たちの側から積み上げます。1日に何人に対応できるか。何日開けるか。1人あたりいくらか。 ここで出るのは、自分たちが受けられる上限です。来てくれそうな人がそれより多くても、上限を超えては受けられません。

セルフ写真館なら、掛けるのはこの4つです。

1日に回せる組数 × 営業する日数 × 1組あたりの金額

1日に回せる組数は、1組が入ってから出るまでの時間で決まります。着替えて、撮って、選んで、出るまで。これは統計に載っていません。 実際に店に行って、時計で計るしかありません。そこが、この計算でいちばん確かな数字になります。

こちらは自分たちで数えられます。 現地で数える、時間を計る、料金表を見る。統計を探さなくても出ます。

どんな企画でも、掛けるものは同じ形になります。

1回に対応できる数 × 何回できるか × 1回あたりの金額

1つ目が、自分たちの上限です。 1日に何組か、1日に何個作れるか、1人が1日に何件回れるか。ここには、必ず上限があります。

2つ目は、自分たちで決められます。 週に何日やるか。ただし、学校がある日を全部使う計画は、たいてい実行できません。

3つ目は、第7回で決めます。 いまは仮で構いません。

こちらも、数字を入れてみます。

8組 × 250日 × 6,000円 = 1,200万円

組数で言うと、8 × 250 = 年に2,000組です。

上から絞ったほうは、年に約2,500人でした。 単位が違うので、そのままでは比べられません。はじめに決めた単位に揃えてから、次で並べます。

ここで迷う人が多い ② 自分たちの上限が出せない

止まり方は3つです。

1つ目。1回にどれくらいかかるか分からない。 計ってください。 実際にやってみるのがいちばん早いです。やったことがなければ、同じことをやっている店で、入ってから出るまでの時間を計ります。

計るときは、いちばん早い人ではなく、ふつうの人を見てください。 慣れた店員が5分でやることを、自分たちが5分でできるとはかぎりません。初めてやる人の時間で置くほうが、外れません。

2つ目。「頑張ればもっとできる」と考えてしまう。 いちばん忙しい日ではなく、ふつうの日で置いてください。 いちばん忙しい日を基準にすると、その数字が1年続く計画になります。

3つ目。人数を増やせばいくらでも増えると思ってしまう。 人を増やすとお金がかかります。 第8回と第10回で、そこを計算します。いまは、いまの人数でできる上限を出してください。

上限が出せると、もう1つ分かることがあります。 これ以上は受けられない、という線です。

上限まで埋まっているのに足りないなら、やり方を変えるしかありません。 上限の半分も埋まっていないなら、まず知ってもらうところからです。同じ「足りない」でも、やることが逆になります。

統計の探し方

この回でいちばん時間を使うのが、統計を探すところです。 探し方を書いておきます。

見つからなかったら、探した先を書いてください。 「市の統計を見たが、この項目は無かった」。それも報告です。

探す場所を増やしたうえで、それでも見つからなかったなら、それは「無い」ではなく「確認できなかった」です。 書き方が変わるだけで、次にやることも変わります。

まとめ記事の数字は、そのまま使わないでください。 記事に「◯◯調べ」と書いてあれば、その◯◯を探します。 たどれなければ、仮の数字として扱います。

探すのに時間をかけすぎないでください。 30分探して出てこなければ、仮の数字で進めます。 見つからないことが分かるのも、成果です。

二つが食い違ったら

上から絞る外の統計から出す市の人口→ 年齢などで絞る→ 届く範囲で絞る→ うちを選ぶ割合2つを並べる受けられる数から積む自分たちの手元から出す1回に対応できる数× 何回できるか× 1回あたりの金額出どころが違うことが、二通りである条件です
片方だけだと、間違っていても気づけません。出どころの違う2つを突き合わせて、はじめておかしいと分かります。

たいてい食い違います。 桁が違うこともあります。そこからが本番です。

どちらが正しいかではなく、どちらの前提が怪しいかを見ます。 二通りで出すのは、この突き合わせをするためです。

さきほどの数字で並べてみます。

まず、単位を揃えます。 1組が平均2人なら、2,000組は4,000人です。約2,500人は、その6割ほどです。

つまり、自分たちは4,000人まで受けられるのに、来てくれそうなのは約2,500人です。 上限の4割ほどが、空いたままになります。

これが分かると、次にやることが決まります。 台数を増やすことではありません。まず知ってもらうこと、選んでもらうことです。

比べる段を間違えると、結論が逆になります。 届く範囲の約7,600人と、上限の4,000人を比べると、「来たい人が多すぎて受けきれない」に見えます。でも約7,600人には、近くのほかの店を選ぶ人も入っています。 上限と比べるのは、いちばん内側の数です。

そう分かったら、企画のほうを動かします。 知ってもらう方法を変えるのか、ほかの店ではなく選ばれる理由を作るのか、受けられる数に合わせて費用を抑えるのか。第5回で扱うのがこれです。

食い違いの直し方

まず、桁を見てください。 第5回でやるのと同じです。

二つの数が食い違ったら、まず桁を見ます桁が同じどちらかの前提を1つ直せば近づきます桁が1つ違うどこかで数え方を間違えています。単位が違っていることが多い桁が2つ以上違う絞り方が足りません。うちを選ぶ割合までかけたかを見る直すのは、どちらか片方だけ近づかなくても構いません。どこがどれだけ違うかが言えていれば十分です
数%の差を気にする段階ではありません。桁がいくつ違うかだけを見て、直すところを決めます。

「上から絞ると5,000人だが、自分たちが対応できるのは年に300組」。 これが分かっていること自体が、この回の成果です。

同じ数字を両方に使ってしまう、という間違いもあります。

上から絞るときに「1日約7人」と出して、足し上げるときにも「1日約7人」を使う。これでは二通りになりません。 同じ計算を2回やっただけです。

上から絞るほうは、外の統計から出します。足し上げるほうは、自分たちの手元から出します。 出どころが違うことが、二通りである条件です。

課題の問3で、そこを聞いています。 食い違わなかった場合は、両方に同じ数字を使っていないかを確かめてください。

【考えてみてください】自分たちの企画は、1日に何人(何組)来れば成り立ちそうですか

先に感覚で答えてみてください。 5人ですか、50人ですか、500人ですか。

この問いの答えは、このページのどこにも書いていません。 授業で聞きます。

先に感覚で答えてもらうのには理由があります。 計算だけで出した数字は、大きく外していても気づけません。 「1日に500人」と出て、それが自分の感覚と合わないなら、どこかで間違えています。

答えたあとで、上の計算をやってみてください。 感覚で答えた数と、計算で出た数が近ければ、その感覚は使えます。 大きくずれていたら、どちらが違っているのかを見ます。

感覚のほうが正しいこともあります。 ふだんその場に立っていれば、計算より正確に分かることがあります。 バイト先で毎日レジに立っているなら、その感覚は根拠です。

その場合は、感覚のほうを数字にしてください。 「バイト先では1日◯人来る」。これも、自分で数えた数字です。

数字には基準日を付ける

使った数字には、いつの数字かも書いておいてください。 「◯人」ではなく「◯年の調査で◯人」。

古いと分かっていても、使ってかまいません。 問題なのは、古いことに気づかずに使うことです。

どれくらい古いと問題か。 決まりはありませんが、この回で扱うものなら、こう考えてください。

「変わりにくいものは古くてよい、変わりやすいものは新しくないといけない」。 この分け方で足ります。

自分たちが数えた数字にも、日付を付けてください。 「11月◯日の午後、◯◯で計った」。同じ場所でも、曜日と時間で変わります。 平日の昼に数えた人数と、土曜の午後に数えた人数は別のものです。

1回しか数えていないなら、そう書いてください。 「1回だけ数えた」と書いてあれば、読む人は幅を見込んで読みます。

セルフ写真館のような新しい業態は、国の統計の数え方と、いま地図で数えたやり方が違うことがあります。両方を書いて、どちらをどう使ったかを添えてください。

最後の回で「その数字はどこから取りましたか」と聞かれます。そのとき答えられるかどうかは、いま書いたかどうかで決まります。

書き添える形

数字の横に、3つ書きますどこから郡山市公式ウェブサイトいつの令和8年8月1日現在どうやってそのまま引いた3つ書いても、1行です郡山市公式ウェブサイト、令和8年8月1日現在、314,736人最終回で「その数字はどこから取りましたか」と必ず聞かれます
この1行を書いておくと、半年後に自分が助かります。書いていない数字は、あとから出どころを思い出せません。

ここで迷う人が多い ③ 数字が信じられなくなる

止まり方は3つです。

1つ目。調べるほど、どの数字も怪しく見えてくる。 正しい反応です。 どの数字にも、集めた人の都合と時点があります。大事なのは、正しい数字を探すことではなく、どれくらい確かかを自分で言えることです。

2つ目。数字が古いと分かって、使うのをやめてしまう。 古くても使えます。 「◯年の数字なので、いまはもう少し多いかもしれません」と書けば足ります。使わないより、断って使うほうが強いです。

3つ目。自分で数えた数字は弱いと思ってしまう。 逆です。 自分で計った時間や、自分で数えた人数は、この回でいちばん確かな数字です。 統計より弱いということはありません。

自分たちの企画で、順番にやってみる

  1. 数える単位を決める … 人数か、組数か、件数か。お金を払う単位に合わせる。 1人が何回も来るなら、回数もかける
  2. 上から絞る … 出発点を決めて、届く範囲まで3回までかける。最後に、自分の店を選ぶ割合をかける。割合ごとに出どころを書く
  3. 足し上げる … 上限 × 回数 × 単価
  4. 二つを並べる … 桁を見て、どちらの前提が怪しいかを決める
  5. 割り戻す … 出た数字を、1日あたりか1人あたりに直してみる

二つの数字が並べば、この回は通っています

一致したかどうかではありません。 二通りで出して、食い違いをどう説明するか。 そこまで書けていれば十分です。

うまくいかないときは

統計が見つからない。 見つからないことを書いてください。 「探したが公表されていなかった」も報告です。

割合の出どころが全部インタビューになる。 それで構いません。 「5人に聞いて」と書いてあれば、読む人は弱さを分かって読みます。出どころが書いていない数字より、ずっと強いです。

上限が計算できない。 1回にかかる時間だけでも計ってきてください。 それが分かれば、残りは掛け算です。

チームの中で、絞り方が人によって違う。 全員ぶんを並べてみてください。 どこで数字が分かれたかを見ると、そこが、まだチームで決まっていないことです。 「何歳から何歳までを相手にするか」が決まっていないなら、それを先に決めます。

数字が大きすぎて、自分でも信じられない。 割り戻してください。 1日あたりに直すと、たいてい無理があると分かります。無理があると分かったら、絞る条件を1つ足します。

次の回の準備にもなります

次の回は「確かめて、組み直す」です。 そこで、この回の数字を掛け算に入れます。

この回で数が出ていないと、次の回の掛け算が通りません。 出しにくくても、仮でよいので数字を入れてきてください。 仮であることを書いておけば、それで足ります。第2回の ? と同じ考え方です。

この回で出した数字は、最終回まで使い続けます。 3枚目のスライドに、そのまま入ります。そのときに「どうやって数えましたか」と聞かれます。

答えられるようにしておく方法は1つです。 いま、数字の横に出どころを書いておくことです。

次の回までにやること

このページの下に課題が5問あります。Teams から提出してください。締切は次の授業の前日の正午です。

二通りの計算を、両方とも出してきてください。 片方だけだと、突き合わせができません。

出した数字には、出どころと時点を添えてください。 この回の課題は、数字そのものより、どうやって出したかを見ています。

次の回では、この数字を掛け算に入れます。 数が出ていないチームは、仮の数字でよいので入れてきてください。

配布資料

課題

この課題について

正解が1つに決まる問題ではありません。 調べて書いても、考えて書いてもかまいません。 外れていても構わないので、まずは自分なりの答えを出してみてください。 自分で決めてから解説を読むと、そこがいちばん頭に残ります。 各問に字数の目安を添えてありますが、あくまで目安です。 ぴったり合わせる必要はありません。

  • 提出は Teams の課題から
  • 締切は 10月29日(木)正午
  • 解説は次の回に、Teams でリンクをお知らせします

問1

思っていたより多くの人が買っている、と最近気づいたものを1つ教えてください。

どこでそう感じましたか。お店の行列でも、SNSで見かける回数でも構いません。

目安 150〜250字

問2

自分たちの企画で、数えるものは何ですか。 人数ですか、組数ですか、件数ですか。

そう決めた理由も書いてください。

目安 150〜250字

問3

二通りの計算をして、数が食い違ったとしたら、どちらの前提を先に疑いますか。 理由も書いてください。

食い違わなかった場合は、両方に同じ数字を使っていないかを確かめて、その結果を書いてください。

目安 150〜250字

問4

今回わかったことを踏まえて、自分たちの企画はどこが変わりましたか。 変わらなかった場合は、そのままでよいと判断した理由を書いてください。

たとえば「お金を払う人は使う人だと思っていたけれど、別の人かもしれないと気づいた」のように、前はこう思っていた/いまはこう思う、の形にすると書きやすくなります。

目安 100〜200字

問5

今回の授業で、いちばん分からなかったこと、もやもやしたことを教えてください。 課題の答えではなく、授業の内容についてです。 うまく言葉にできなければ、授業のどのあたりだったかだけでも構いません。

目安 50〜150字

Teams の課題から提出してください。

この回の参考文献

参考文献の一覧

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