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10/16 (rescheduled), 10/19, 10/23
Does Anyone Actually Want It?
この回で分かるようになること
- 自分たちの企画を説明せずに、相手の話を聞けるようになる
- 過去の出来事をたずねる質問を、自分で3つ書けるようになる
- 聞いた話と、前の回に描いた人物像の違いを言えるようになる
この回で覚えるのは2つだけ
新しく覚えることは2つしかありません。
- 自分たちの企画を言わない
- 未来ではなく、過去に起きたことを聞く
この2つだけです。 このあと質問の文例がたくさん出てきますが、覚えるものではありません。 聞きに行くときにこのページを開いて、そのまま読んで構いません。
前の回に描いた人は、まだ想像の人
前の回で、買ってくれる人を一人の人物として描きました。あれは仮説です。 話を聞いていない人物は、想像上の人のままです。
想像で描いた人物像は、たいてい自分に似ます。自分が困っていることを、自分と同じくらいの年齢の人が、自分と同じように困っている。そう書いてしまいます。似ているかどうかは、会ってみないと分かりません。
自分に似た人物像になっているかどうかは、その場で確かめられます。 前の回に書いた人物像を読み返して、年齢・住んでいるところ・使っているもの・困っていることの4つが、自分と何個ちがうかを数えてください。 4つとも同じなら、それは自分です。1つか2つしかちがわないときも、たいていは自分です。
自分を書いてしまうのは、悪いことではありません。 自分のことなら細かく書けるからです。ただし、自分は1人しかいません。 同じ困りごとを持つ人がほかにもいるかどうかは、聞かないと分かりません。
この回でやることは1つだけです。実際に人に会って、確かめてきます。
顧客開発(お客さんのことを段階を追って確かめていく進め方)をまとめた Steve Blank が繰り返し言っているのは、建物の中に事実はない、外に出よ、ということです。教室で話し合って出てくるのは意見です。事実は、外にいる人が持っています。
この回は3コマあります。 1コマ目で誰に何を聞くかを決め、あいだの数日で実際に聞き、3コマ目に持ち寄ります。あいだの数日が、この回のいちばん長い時間です。
確かめに行くことを、先に1つ決める
前の回で9つのマスを埋めました。全部を確かめに行くと、何も確かめられません。 外れたら企画が成り立たなくなるマスを、チームで1つだけ選びます。多くの場合、顧客セグメントか、価値提案(その人の何が解決されるか)のどちらかになります。
選び方は、こう考えると決まります。そのマスが外れていたら、企画の残りも書き直しになるか。 なるなら、それが今回の1つです。ならないなら、まだ先で構いません。
たとえば「一人暮らしを始めたばかりの学生が、夕食の献立を決められなくて困っている」と書いたとします。ここで外れると困るのは、「献立を決められない」のほうです。 一人暮らしの学生は確かにいます。でも、その人が本当に献立で困っているかは、まだ誰も確かめていません。
質問は、書くだけでなく声に出す
選んだら、それを確かめる質問を3つ書きます。1コマ目に、その場で声に出してみます。
書いただけの質問は、たいてい未来を聞いています。 紙の上では自然に見えるのに、声に出すと不自然に聞こえます。「もしそういうサービスがあったら、使うと思いますか」。文字で見ると普通ですが、口に出すと、相手に「はい」と言わせにいっているのが分かります。
声に出して直す時間を、授業の中に取ってあります。 直すのはその場で構いません。
さきほどの例で、質問を3つ書いてみます
確かめたいのは、「夕食の献立を決められなくて困っている」の部分です。
まず、よくない3つ。
- 献立を決めるアプリがあったら、使いますか
- 献立を考えるのって、大変じゃないですか
- 週にどれくらい料理しますか
1つ目は未来を聞いています。2つ目は、こちらが期待している答えを質問の中に入れています。3つ目は「ふだん」をたずねているのと同じで、まとめた答えが返ってきます。
同じことを、過去でたずねてみます。
- 昨日の夕食は何でしたか。どうやって決めましたか
- いちばん最近、夕食を決めるのに困ったのはいつですか。そのとき、どうしましたか
- この1週間で、外で買って済ませたのは何回ですか
3つとも、思い出せば答えられます。 考えないと答えられない質問が1つでも混ざっていたら、そこを書き直します。
何人に聞けばいいのか
「5人でいい」と書いてあるのを見かけたら
この回でやろうとしているのは、操作しやすさのテストとは別のことです。 欲しい人がそもそもいるのかを確かめています。前提が違うので、同じ数字をそのまま持ってくることはできません。
この授業では、チームで3人に聞きます。 クラス全体では9件になります。
3人の相手は、重ならないように選んでみてください。 3人とも同じ友達グループから選ぶと、人数は3人でも、返ってくる話は1種類になりがちです。選ぶときは、まずチームで「誰に聞くか」を出し合ってから決めます。
切り上げどき
数より、切り上げどきのほうが役に立ちます。同じ話が何度も出てきて、新しい話が出なくなったら、そこで十分です。
逆に、3人とも違う話をしたなら、まだ切り上げどきではありません。 聞く相手がばらばらすぎるか、確かめたいことが決まっていないかの、どちらかのことが多いです。そのときは、聞く相手を絞り直してみてください。
同じ話が3人から出たら、それは持ち寄る価値のある事実です。 3コマ目に「3人に聞いて、3人とも同じことを言った」と言えると、チームの話が早く進みます。何人中何人かも、一緒に書き留めておくと、3コマ目でそのまま使えます。
逆に、1人か2人からしか出ていない話は、弱い手がかりとして保留にしてください。 捨てるのではありません。まだ強いとも弱いとも言えない、という置き方です。 3コマ目に持ってきて構いません。
身近な人に聞くとき
聞く相手は、友達や家族、バイト先の人になると思います。近い人ほど、お世辞を言いがちです。 応援したいからです。
それでも、聞く意味はあります。過去の事実だけをたずねていれば、身近な人からでも、本当のことが返ってきやすくなります。 「先週それを何回やった?」には、お世辞が入りにくいからです。
断りやすい形で頼む
時間を先に伝えて、断ってよいことも一緒に伝えます。 「授業の課題で30分だけ話を聞きたい。飲み物ごちそうさせて。いつでも断っていいよ」。
メモや録音は、そのつどたずねます。 「メモを取っていい?」と聞いて、嫌がられたらメモだけにします。名前は書き留めません。 聞いた内容は、授業の中だけで使います。
頼まないでおく相手
バイト先の店長や先輩のように、断りにくい相手には頼まないでおきます。 立場の違いがあると、相手は断れません。断れない相手から得た「はい」は、いちばん当てになりません。
家庭の事情のように、踏み込まないほうがいい話題もあります。 相手が話したがっていないと感じたら、そこで引いてください。話を1つ取り逃すより、そのほうが大事です。
自分たちの企画を、相手に言わない
この回でいちばん大事な規律です。聞きに行くとき、自分たちの企画を説明しません。
説明したくなります。せっかく考えたのだから、聞いてほしい。でも、言った瞬間に相手の関心が切り替わります。
言った瞬間に、相手の中で何が切り替わるか
相手は、あなたを応援したいからです。だから、企画を言わずに聞きます。
『The Mom Test』は、お客さんとの会話のやり方を扱った本です。中心にある原則は3つで、その1つ目が「自分のアイデアではなく、相手の生活を聞く」です。本の中では、自分のアイデアを口にするのを避けるだけで、質問は自然に良くなる、と書いています。
では、何と言って始めるのか
企画を言わないまま話を始めるのは、最初は難しく感じます。言い方を先に決めておけば、その場で困りません。
- 「授業で、みんながふだんどうしているかを調べていて。30分だけ話を聞かせてほしい。飲み物ごちそうさせて」
- 「夕食の話を聞きたくて。作る人がどうしているのか知りたいだけで、何かを売りたいわけじゃない」
「何を作っているか」を言わずに、「何を知りたいか」だけを言います。 相手が「で、何のために?」と聞いてきたら、「授業の課題で、まだ何も決まっていない」と答えれば足ります。嘘ではありません。 決まっていないから、確かめに行くのです。
言ってしまったときは、そこから立て直す
言わないつもりでも、話の流れで言ってしまうことがあります。そこで終わりにしなくて構いません。
言ってしまったあとの感想は、もう当てになりません。 でも、そのあとに聞くことはできます。こう切り替えます。
- 「いま言ったのは忘れて。それより、最後にそれで困ったのっていつ?」
相手は、あなたが何を作ろうとしているかを知ってしまいました。 それでも、過去に実際に起きたことなら、まだ本当のことが返ってきます。 起きたことは、自分たちの企画とは関係なく起きているからです。
言ってしまったことは、メモに書いておいてください。 あとで読み返すときに、どこから先が影響を受けている答えなのかが分かります。
ここで迷う人が多い ① 相手の前で、言葉が出てこない
止まり方は、だいたいこの3つです。
1つ目。最初の一言が出てこない。 上の切り出し方を、そのまま声に出して構いません。紙を見ながらで大丈夫です。 「授業の課題で聞いていて」と前置きしてあれば、紙を見ることは少しも不自然ではありません。
2つ目。企画を言いたくなって、我慢しているうちに黙ってしまう。 言いたくなったら、その気持ちを質問に変えてください。「こういうのがあったら便利じゃない?」と言いたくなったら、「いま、それってどうやってる?」に置き換えます。 確かめたいことは、どちらも同じです。
3つ目。相手が短く答えて、会話がそこで終わる。 「そのとき、どうしましたか」と足します。この一言だけで、たいてい続きます。 続けるための質問は、あとの「ここで迷う人が多い ②」に6つまとめてあります。
聞きに行く30分の進め方
手順の5「1人目に聞きに行く」で、30分をどの順で使うかです。手順は、このページの終わりの「自分たちの企画で、順番にやってみる」にまとめてあります。
質問を3つ用意しても、会った瞬間に「で、何から聞こう」で止まります。先に順番を決めておきます。
30分の形
1と3は、本題の3つには数えません。1はお店に入る前の確認で、30分には入りません。3は温めです。
話す量は、相手がほとんどを話しているのが目安です。自分のほうが長く話していたら、それは説明をしています。
一緒に行くのは3人まで
同席するのは3人までにしておきます。 相手1人に対してこちらが大勢だと、相手は話しにくくなりがちです。役は3つです。
- 聞く人 … 質問をして、続ける一言をかけます
- 書く人 … 相手の言葉を、そのまま書き留めます
- 時計とお金の係 … 3人目がいるときに。時間を見て、飲み物の支払いをします
4人のチームは、交代して、全員が1回は同席できるように組んでみてください。 課題の問3は、話を聞いた相手のうち1人について記録する問いです。同席した相手がいれば、その中から選びます。どの回にも同席できなかったときは、書く人がとったその場の記録が、課題を書くときの拠り所になります。
1 その人かどうかを、お店に入る前に確かめる
聞きに行く相手は、会える人になります。でも、会える人がその企画の相手だとは限りません。自炊していない人に自炊の話を30分聞いても、何も出てきません。
会ってすぐ、お店に入る前に1問だけ聞いて、違っていたら、そこで終わりにします。
属性ではなく、直近にやったかどうかで聞きます。 覚えることの2つ目「過去に起きたことを聞く」を、相手選びにも使う形です。
「ふだん」「よく」と聞くと、「はい」で終わります。しかも、相手は気を遣って「はい」と言えます。「この1週間で何回」「最後はいつ」と聞くと、回数か日付で返ってくるので、合わせようがありません。0回だったら、その人は今回の相手ではありません。
対象者を選ぶ調査の作法としては、これは公的なガイドにも書かれています。マサチューセッツ州のデジタル担当部署が出している調査の手引きは、絞り込みの質問はその人が実際にやったことで聞き、やるかもしれないことでは聞かないとしています。人は、自分がこの先どうするかを予想して答えると、外しやすいからです。
0回だったときは、お茶には行かずに、お礼を言って終えます。 「ありがとう、また今度」で構いません。そして、その1件は記録に残します。 「この人は対象ではなかった」は、1件ぶんの成果です。誰が対象でないかが分かると、誰が対象かが絞れます。
2 切り出し方は、先に決めておく
「自分たちの企画を、相手に言わない」に書いた文を、そのまま読んで構いません。紙を見ながらで大丈夫です。「授業の課題で聞いていて」と前置きしてあれば、紙を見るのは少しも不自然ではありません。
3 答えやすいことから入る
最初の1問は、考えずに答えられるものにします。相手がここで詰まると、そのあとも固いままになりやすいからです。
評価されていると感じる聞き方は、冒頭には置かないでおきます。 たとえば「最近読んだ本は何ですか」。読んでいない人は、ここで気まずくなります。「昨日の夜は何してた?」なら、誰でも答えられます。
4 広く聞いてから、狭く聞く
本題の3つは、広いものから狭いものへ並べます。
- 広い … 昨日の夕食は何でしたか。どうやって決めましたか
- いちばん最近、夕食を決めるのに困ったのはいつですか。そのとき、どうしましたか
- 狭い … この1週間で、外で買って済ませたのは何回ですか
順番を逆にしないのには、理由があります。細かいことを先に聞くと、あとで全体を聞いたときの答えが、先に聞いたことに引っぱられます。
「この1週間で、外で買って済ませたのは何回?」を先に聞くと、そのあとの「夕食はどうやって決めてる?」で、外で買った話を足して答える人も、「もう話したから」と外して答える人も出てきます。どちらにしても、先に聞かなければ出てきた答えとは変わります。相手が嘘をついているのではありません。
これは調査の方法論では確かめられていることで、米国の調査機関 Pew Research Center は、先に聞いた質問があとの答えを変えると明記しています。だから、広いほうを先に置きます。
2つ目の質問は、いちばん時間をかけるところです。 「いちばん最近の一回」を、場面の順にたどります。きっかけ → さがす → 決める → そのあとの順です。夕食の例なら、たとえばこう進みます。
| 場面 | こちらの一言 | 返ってきそうな話 |
|---|---|---|
| きっかけ | 「その日は、何があったんですか」 | バイトが長引いて、帰りが9時を過ぎた |
| さがす | 「それから?」「そのとき、どこで? 誰と?」 | 帰り道のスーパーに一人で寄った |
| 決める | 「それから?」 | 値引きの総菜が残っていたので、それにした |
| そのあと | 「それから?」 | 家で食べた。同じものが続いて、少し嫌だった |
場面と場面のあいだは、「それから?」「そのとき、どこで? 誰と?」でつなぎます。 次の場面をこちらから言わずに、相手に進めてもらうと、相手のしたことが相手の順番で出てきます。話が別の順で進んだら、そのまま聞いて構いません。4つの場面は、聞き漏らしを防ぐための目安です。
本題の終わりに、その場面でいくら払ったか、どれくらい時間をかけたかも聞いてみてください。すでに払ったお金や時間は、言葉より確かな手がかりになります。見方は、あとの「相手が何を差し出したかを見る」にあります。
5 締めに、1つだけ聞く
時間を守って終わります。30分と言ったなら、30分で終えます。約束した時間で区切ると、次にまた頼みやすくなります。
終わりぎわに、1つだけ聞きます。
ほかに誰に聞くとよさそうですか
名前が出てきたら、それは次に会う人です。そして、あとの「相手が何を差し出したかを見る」で見るとおり、名前を出すこと自体が、相手が評判を差し出したということでもあります。
「買いますか」と聞かない
左は、どれも未来のことを聞いています。人は、自分がこの先どうするかを、実際より良く見積もりがちです。 77の調査をまとめた研究では、「いくらなら払うか」と仮定でたずねて得た金額が、実際に払う額より平均で約21%高く出ました(Schmidt & Bijmolt, 2020)。
仮定でたずねると、実際に財布を開ける場面より、金額が高く出やすいということです。 未来のことは、誰にとっても、まだ本当のことではありません。
右は、どれも過去に起きたことを聞いています。過去のことでも、少し多めに答えてしまうことはあります。それでも、未来の予想より、過去の事実のほうが確かめやすく、盛りにくくなります。「先週、それに何回お金を使いましたか」という問いに、良い答えも悪い答えもありません。
「ふだん」も避けます
「ふだんどうやって選んでる?」と聞くと、相手は自分の行動をきれいにまとめて答えます。 本人にその気がなくても、まとめた時点で、実際とは違うものになります。
「いちばん最近」に変えるだけで、実際の一回が出てきます。 「いちばん最近それを買ったとき、どうやって選んだ?」。ここには、まとめる余地がありません。
もう一段、聞き方を試してみます。「もっと安ければ使うよね?」。 この質問には、どんな答えが返ってくると思いますか。
ほぼ「うん」です。 質問の中に、期待している答えがすでに入っているからです。言いかえるなら、「いまのやり方をやめたいと思ったことはある? あるなら、それはいつ?」になります。
【考えてみてください】最後に「買ってよかった」と誰かに言ったのは、いつのことですか
何を、誰に、どんな場面で言ったか。思い出してみてください。
すぐには出てこなかったのではないでしょうか。過去の具体的な一回を思い出すのは、聞かれた側にとっても手間のかかることです。
だから、聞くときは待ちます。相手が黙っている時間は、思い出している時間です。 ここで「たとえば、こういうことない?」と助け舟を出すと、あなたが出した例に相手が乗ってしまいます。黙って待つのも、この回の技術のうちです。
この問いの答えは、このページのどこにも書いていません。授業で聞きます。
相手別に、言いかえてみます
ここから先は、聞きに行く前の晩に開いてください。 そのまま口に出せる形にしてあります。
矢印の左が、言わないほうがいい聞き方です。右の濃い字が、言いかえです。 同じことを確かめたいのに、返ってくるものが変わります。
場面1 友達に、買ったものの話を聞く
- こういうアプリ、いいと思わない? → 最近、それで困ったことってあった? いつのこと?
- これ、あったら買う? → いま同じことを、どうやって済ませてる?
- ふだんどうやって選んでる? → いちばん最近それを買ったときのこと、話してくれる?
矢印の左はどれも、相手に判定を求めています。 良いか悪いか、買うか買わないか。友達は判定を求められると、良いほうに寄せます。矢印の右はどれも、思い出すことだけを求めています。
場面2 バイト先の人に、仕事のやり方を聞く
- この機能、便利だと思わない? → 最後にそれをやったとき、どこがいちばんめんどくさかった?
- 使いにくくなかった? → その作業、どこが簡単で、どこが大変でした?
- この問題、大きな問題だよね? → それが起きると、実際どのくらい困りますか。時間で言うと?
バイト先は、事実が出やすい場所です。 手順が決まっていて、毎日繰り返しているからです。相手も、その作業を何十回もやっているので、細かいところまで覚えています。 「どこが簡単で、どこが大変か」を両方たずねるのが要点です。 大変なところだけを聞くと、相手は大変なところを探して答えてくれます。
場面3 家族に、お金の使い方を聞く
- いくらなら払う? → それに今いくら払ってる? 時間はどれくらいかかってる?
- 週に何回くらい使うと思う? → 直近の1週間で、実際に何回やった?
- みんな困ってるって聞くけど、うちもそう? → 最後にそれで困ったのは、いつ?
家族は、お世辞を言いやすい相手です。 それでも、すでに払っている金額と、実際にやった回数は、お世辞になりません。 家計の細かいところまで踏み込む必要はありません。「その定期券、月にいくら?」くらいで十分です。
場面4 同じ学校の人に、通学や部活の話を聞く
- 私だったら不便だと思うんだけど、どう? → そのとき、どう思った?
- もっと安ければ使うよね? → いまのやり方をやめたいと思ったことはある? あるならいつ?
- うちの案、すごくない? → その作業、そもそも何のためにやってるの?
いちばん上の言いかえは、たった一言の違いです。 「私だったら」を外すだけです。自分の感想を先に置くと、相手はそれに賛成するか反対するかしか選べなくなります。
返ってきた答えで止まりそうなときも、言いかえてみます
場面5 「いいと思う」で止まってしまったとき
いちばん多い場面です。相手は褒めてくれています。でも、確かめる材料にはなりません。
ここで、次に何と言うか。予想してみてください。
過去に引き戻します。 こう返します。
- 「そう言ってもらえてうれしい。ちなみに、似たようなことで最近困ったのっていつ?」
- 「いま、それってどうやってる?」
褒め言葉を否定しません。 いったん受け取ったうえで、過去の一回に話を移します。ここで「本当に?」と聞き返すと、相手は責められたと感じます。
場面6 「こういう機能もあれば」と言われたとき
これも多い場面です。要望をそのまま持ち帰らないでください。 要望は、相手がその場で考えた思いつきです。
要望が出たら、その裏側にある出来事を聞きます。
- 「それがあったら、どういうときに使いそう? 直近でそういう場面あった?」
- 「いまは、その場面でどうしてる?」
場面が出てこなければ、その要望は置いておきます。 場面が出てきたら、要望ではなく、その場面のほうを書き留めます。 要望は消えても、困りごとは残ります。
同じ形の要望が何人からも出たときは、要望のほうではなく、その裏側を見てください。 別々の人が同じ思いつきに行き着いたなら、もとになっている困りごとが共通している可能性があります。
6つの場面に共通していること
矢印の左はどれも、相手に判定か予想をさせています。 良いか悪いか、買うか買わないか、いくらなら払うか。どれも、相手の頭の中にしかありません。
矢印の右はどれも、相手に思い出すことだけをさせています。 いつ、何回、いくら、どうやって。どれも、実際に起きたことです。
迷ったら、この一点で判断してください。 その質問は、相手に思い出させているか、それとも考えさせているか。
自分が書いた質問を、その場で直す
3つの手順で直せます。声に出す前に、紙の上でできます。
1つ目。文の終わりを見ます。 「〜と思いますか」「〜しますか」で終わっていたら、未来か意見をたずねています。「〜しましたか」に変えられないか、試してみてください。
2つ目。自分の考えが入っていないか見ます。 「便利じゃないですか」「大変ですよね」。こうした言葉が入っていたら、それはあなたの判定です。 抜きます。
3つ目。「はい」か「いいえ」で終わらないか見ます。 終わるなら、そのあとに続ける一言を、あらかじめ書き添えておきます。「そのとき、どうしましたか」を足しておけば、その場で詰まりません。
ここで迷う人が多い ② 3つ目の質問で、会話が終わる
用意した3つを聞き終えて、そこで黙ってしまう。よくあります。
聞くことに詰まったら、この6つが使えます。
「なぜ」は言いかえておくと安全です
「なぜそうしたんですか」は、聞き方によっては責められているように届きます。 とくに、相手が手間のかかるやり方をしている話のあとだと、そう聞こえやすくなります。
「何がきっかけで」に変えると、同じことが聞けます。 「何がきっかけで、そのやり方にしたんですか」。責める響きが消えて、経緯が返ってきます。
相手が何を差し出したかを見る
話が盛り上がっても、それだけでは分かりません。
『The Mom Test』という本にも、相手が何を差し出したかで言葉の重みを見る考え方が出てきます。どんなに良い言葉でも、相手が何も差し出していないなら数えない。 ここが判断の基準になります。
ただし、お金の見方は本と少し違います。 本で言うお金は、こちらへの予約や前払いのような約束です。始めたばかりの企画では予約を受けにくいので、この授業では、その人がすでにほかに払っている額で見ます。時間と評判は、本の考え方と同じです。
3つとも差し出されなかったときは、どう考えるか。 その人は対象ではないのかもしれませんし、聞き方が届いていないのかもしれません。どちらなのかは、2人目・3人目に聞けば分かります。 同じことが続けて起きるなら、聞き方のほうを直します。1人だけなら、その人が対象ではなかっただけです。
3人とも何も差し出さなかったときは、手元にあるのが言葉だけになります。 「あったら買う」「いいと思う」しか返ってきていないなら、企画を確かめる材料は、まだ増えていません。 それでも、3人とも何も差し出さなかったということ自体は、確かめた事実の1つです。 聞き方をどう直すかを考えて、そのまま3コマ目に持ってきてください。
ここで迷う人が多い ③ 盛り上がったのに、書くことがない
楽しく話せたのに、あとでメモを見ると事実が1つも書いていない。 これも、よくあります。
止まり方は3つです。
1つ目。相手の感想しかメモしていない。 「便利そうって言ってた」「みんな困ってるらしい」。どちらにも、いつ・何回・いくらが入っていません。 次に聞くときは、答えの中に日付か数が出てくるまで、もう一段たずねてください。
2つ目。自分が話しすぎた。 楽しかったのは、自分がしゃべったからかもしれません。目安として、相手が話している時間のほうが長ければ、たぶん大丈夫です。
3つ目。何も差し出されていないことに、気づいていない。 別れぎわに「また今度」と言われただけなら、それは差し出されていません。日にちが決まっていれば、差し出されています。
聞いた話を、どう書き留めるか
その場では、相手の言葉をそのまま書きます。 書く人が、「30分インタビューの進め方」の紙の裏にとります。要約しません。要約した時点で、あなたの解釈が入ります。
書き留めるものは2種類あります。たとえば、こんなふうになります。
- 相手の言葉そのまま … 「毎週日曜にまとめて決めてる」「結局コンビニで済ませちゃう」
- いつ・何回・いくら … 「先週は3回」「月に2千円くらい」
数は、相手が言ったとおりに書きます。 きりのいい数に丸めません。「だいたい」と言われたら、「だいたい」も一緒に書きます。
3行目だけカッコが付いているのは、そこだけが自分のものだからです。
別れたらすぐ、今度は1人ずつ、自分の紙に書き足してください。 家に着くころには、細かいところが消えています。
書き足すのは3行です。 いちばん驚いたこと、具体的な事実(いつ・何回・いくら)、相手が実際に取った行動。ワークシートの3枚目に、その3行の欄があります。 3枚目は、覚えている相手の話と、自分の考えを分けて書く紙です。
自分たちの企画で、順番にやってみる
5の「1人目に聞きに行く」の30分の進め方は、「聞きに行く30分の進め方」の節にあります。
1人目が終わったら、質問を直す
たいてい、1人目がいちばん多くを教えてくれます。ただし、教えてくれるのは相手のことではなく、自分の質問のことです。
質問を作って、試して、直す。これは調査の手順に組み込まれている段で、省かずにおきます。
直していいもの
- 言葉づかい(通じなかった言い方)
- 順番(流れが悪かったところ)
- 続ける一言(足りなかったところ)
- 時間の見当(30分で足りたか、余ったか)
- 誰に聞くかの条件(1人目が対象でなかったなら、確かめの1問を変える)
直さないもの
- 確かめたいこと。第2回で ? を付けたところです。
ここを変えると、3人の話を並べて比べられなくなります。1人目に「列に並ぶのが面倒か」を聞いて、2人目に「値段が高いか」を聞いたら、2人は別のことを答えているので、何人中何人かを数えられません。
直したら、何を直したかを1行書き留めてみてください。 3コマ目に持ち寄るとき、1人目と3人目で聞き方が違った理由が分かります。
3人に聞けたら、この回は通っています
うまい質問ができたかどうかではありません。 チームで3人の話を、相手の言葉のまま持って帰れたら十分です。
うまくいかないときは
相手が見つからない。 まず、この1週間で話した人を思い出してください。新しく探すより、すでに話す関係のある人のほうが早いです。
断られた。 断られるのは普通のことです。断ってよいと伝えたのだから、断られたのは、伝え方が正しかったということでもあります。 次の人に行ってください。
時間が取れない。 30分がまとまって取れないなら、同じ人に、日を分けて聞いてもかまいません。 前に聞いた話の続きから始められるので、かえって深く聞けることがあります。
聞いてみたら、その人は困っていなかった。 それは失敗ではありません。この人は対象ではなかった、という事実が1つ増えています。 3コマ目に、そのまま持ってきてください。
次の回までにやること
このページの下に課題が5問あります。Teams から提出してください。締切は、3コマ目のあとの10月25日(日)正午です。
聞いた話は、相手の言葉そのままと、いつ・何回・いくらという事実を書き留めておいてください。自分の感想は、カッコで分けておくと、持ち寄るときに混ざりません。
3コマ目に、全員の話を持ち寄ります。前の回の人物像が外れていたと分かるのが、この回の成果です。 外れていたと分かったチームのほうが、次の回で先に進みます。
Handouts
Assignment
この課題について
正解が1つに決まる問題ではありません。 あなたのチームが話を聞いてきた相手のことと、3コマ目にチームで持ち寄ったことをもとに、一人ひとりが自分で書いて提出してみてください。 外れていても構わないので、まずは自分なりの答えを出してみてください。 自分で決めてから解説を読むと、そこがいちばん頭に残ります。 各問に字数の目安を添えてありますが、あくまで目安です。 ぴったり合わせる必要はありません。
- 提出は Teams の課題から
- 締切は 10月25日(日)正午
- 解説は次の回に、Teams でリンクをお知らせします
問1
あなたのチームは、話を聞きに行く前に「確かめたいこと」を1つ決めました。第2回で「まだ見ていない」の印を付けたところのうち、チームが選んだものをそのまま書いてください。
そのうえで、チームがなぜそれを選んだのかを、あなたの言葉で書いてみてください。
目安 100〜200字
問2
あなたが同席した回で、チームが相手に実際にした質問を3つ、そのまま書いてください。 1行に1つずつ書きます。言い回しも、そのときのままで構いません。1人目のあとで質問を直したときは、直したあとの質問を書きます。
どの回にも同席できなかったときは、チームのその場の記録(「30分インタビューの進め方」の紙の裏)を見て書いてください。
そのうえで、3つの質問のうち、いちばん具体的な話が返ってきた質問を1つ書き、なぜうまくいったと思うかをひとこと添えてください。
質問3つ+目安 150〜250字
問3
チームが話を聞いた相手のうち、1人について書きます。その1人を選んで、話してくれたことと、あなたが考えたことを書いてみてください。 ほかの相手の話は、ワークシートの3枚目と、3コマ目のチームの作業で扱っています。
書くのは次の5つです。
- 選び方 … 同席した相手から1人を選んだ/どの回にも同席できなかったので、チームのその場の記録から1人を選んだ/チームで1人も話を聞けなかった、のどれかを選びます
- ① チームが話を聞いた相手から1人を選び、その人がどんな人かを書いてください。 … 名前は書かず、あなたとの関係と立場を書きます。例:「同じクラスの友人」「アルバイト先の30代の先輩」。1人も話を聞けなかったときは「話を聞けなかった」と書きます
- ② 相手が話したこと … 相手の言葉のまま、事実だけを書きます。1人も話を聞けなかったときは、誰に頼んで、どこで止まったかを書きます
- ③ ②を聞いて、あなたが考えたこと … 問3・②と分けて書くと、相手が言ったことと、あなたが考えたことが混ざりません
- ④ 問1の「確かめたいこと」は、選んだ1人の話ではどうだったか … ○ になった/違っていた/まだ分からない、のどれかを選びます。1人も話を聞けなかったときは「まだ分からない」を選びます
同席した相手を選んだときは、あなた自身のメモから書きます。同じ話を聞いても、耳に残ることは人によって違うからです。
目安 ②と③を合わせて100〜200字
問4
今回話を聞いてきたことをもとに、あなたたちの企画で変わったところを書いてください。 変わらなかった場合は、そのままでよいと判断した理由を書いてください。 3コマ目にチームで数えた結果や、チームで決めた「外れた1つ」を手がかりにして構いません。
たとえば「献立を決められずに困っていると思っていたけれど、聞いてみると日曜にまとめて決めていて、困っていたのは買い物に行く時間のほうだった。だから価値提案のマスを書き直した」のように、前はこう思っていた/いまはこう思う、の形にすると書きやすくなります。
目安 100〜200字
問5
話を聞きに行ってみて、いちばん分からなかったこと、もやもやしたことを教えてください。 課題の答えではなく、質問を作るところから3コマ目の持ち寄りまでの中でのことです。 うまく言葉にできなければ、どの場面だったかだけでも構いません。
目安 50〜150字
References for this session
The Mom Test: How to Talk to Customers & Learn if Your Business is a Good Idea When Everyone is Lying to You
Session 3's rules — do not pitch your idea, ask about the past — come from this book.
Customer Development / Customer Discovery(steveblank.com の記事群)
The source of "there are no facts inside the building." Written by Blank himself.
Leading Questions Can Skew Your Research Results
A short article on how leading questions skew answers. An easy length to read.
How Many Test Users in a Usability Study?
The source of the "five users" rule. It is about observing use, not about how many people to interview.
Creating a screening survey for your experience research study
A guide from the Massachusetts Digital Service on writing screening questions for research participants. Session 3 cites it for asking about what people have actually done, not what they might do.
Question order
Pew Research Center's explanation of how question order affects answers. Session 3 cites it for the point that earlier questions change later answers.
マーケティングにペルソナは必要か/架空の人物像を設定するのは「意味がない」?/具体的な1人の顧客を徹底的に掘り下げる“N1分析”とは【西口さん、マーケティングって本当に必要ですか?#10】
Used in Session 3. What it rejects is the persona invented in a meeting room, not one built from real people. Personas began as a distillation of seven or eight interviews, and turned fictional when marketing adopted them in the 1990s. This course follows the same order: write one in Session 2, then go and meet real people in Session 3. 18:47.
顧客のインサイト(=隠れた本音)を引き出すインタビュー方法/WHY(=なぜ)を聞いてはダメ/”顧客ピラミッド”と”カスタマージャーニー”を学ぶ【西口さん、マーケティングって本当に必要ですか?#12】
Used in Session 3. It points the same way as the course on not asking "why". It covers whom to ask, what to ask, and in what order, using a customer pyramid and a customer journey. 21:20.
Accurately measuring willingness to pay for consumer goods: a meta-analysis of the hypothetical bias
The source of Session 3's "about 21% higher." A meta-analysis of 115 effect sizes from 77 studies in 47 papers. Open access.
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング
Why one deep interview beats a broad survey, written from practice. 240 pages. What the author rejects is a persona not built from real people; the book and the Session 3 video say the same thing.
リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
The thinking behind this course's method: test before you build, rebuild when you are wrong. 406 pages.
起業の科学 スタートアップサイエンス
Essentially a longer version of this course, from problem validation through fundraising. 280 pages.
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
A whole book on Session 6's point: people hire something to get a job done. 392 pages.