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1/18・1/22
誰が何をやるのか/ピッチをつくる
この回で分かるようになること
- チームの中で、誰が何をやるのかを決められる
- 決めてよいことと、ひとりでは決められないことの線を引ける
- 集める額を自分で選び、ピッチ資料の骨組みを作れる
この回で覚えるのは2つだけ
- 仕事と権限は、別々に決める
- あとで戻せないことは、ひとりで決めない
この2つだけです。 組織の話も、人の動き方の話も、この2つから出てきます。
この回には、調べることがありません。 ここまでの回は、外に出て確かめたり、数字を集めたりしてきました。この回でやるのは、決めることだけです。
決めることは、調べることより難しいことがあります。 正解が外にないからです。外に答えがないときにどう決めるか。 そのやり方を、この回で扱います。
「みんなでやる」は、誰もやらない
ここまで、チームで企画を育ててきました。役割は、なんとなく決まっていたと思います。
なんとなくで回っているうちはそれで足ります。人が増えると回らなくなります。 誰がやるか決まっていない仕事は、たいてい誰もやりません。
これは、悪いことが起きるという話ではありません。 4人でここまで来られたのは、なんとなくでも回っていたからです。この回でやるのは、回っていたことを、言葉にして書き出すだけです。
「みんなでやる」と決めた仕事を思い出してみてください。 それは、いま進んでいるでしょうか。進んでいるなら、実は誰かがやっています。 その人の名前を書いておけば、それが役割です。
なぜ「みんなで」になるのか。 名前を書くと、その人の負担が増えるように見えるからです。誰かに押しつけている気がして、書けません。
実際には、逆のことが起きます。 名前が書いていない仕事は、気づいた人がそのつどやることになります。 気づく人は、たいてい決まっています。その人に、いちばん多く回ります。
名前を書くのは、押しつけではなく、分けることです。 4つの仕事に4人の名前が入っていれば、1人あたり1つです。
分けるのは、仕事と権限の2つ
役割を決めるとき、分けるものは2つあります。混ざりやすいので、別々に見てください。
「調べるのはAさん」は仕事の話です。「いくらで売るかを決めるのはAさん」は権限の話です。
この2つは、同じ人でなくて構いません。 調べるのはAさんだが、決めるのは全員、ということもあります。逆に、決めるのはAさんだが、手を動かすのは全員、ということもあります。
なぜ分けるのか。 混ざっていると、話がすれ違うからです。
「値段のことはAさんに任せた」と言ったとき、任せたのは調べることなのか、決めることなのか。 ここが分かれていないと、Aさんが決めて持ってきたときに「勝手に決めた」と言われます。Aさんは任されたつもりでいます。
「調べるのを任せた」のか「決めるのを任せた」のか。 この一言を足すだけで、あとのもめごとがほとんど消えます。
書き出してみます
表は1回で完成しません。 やってみて、回らないところが出たら直します。直したら、直したことを全員に言ってください。 表を直したのに、直したことを知らない人がいると、いちばん混乱します。
ここで迷う人が多い ① 仕事と権限が同じ人になってしまう
止まり方は3つです。
1つ目。「やる人が決めるのが当たり前」と思ってしまう。 そうでない場合があります。調べた人と、決める人が違うほうがよい場面もあります。調べた人は、調べたものを使いたくなるからです。
2つ目。全部を全員で決めようとしてしまう。 4人が全部を決めていると、何も進みません。 会うたびに全部の話をすることになります。戻せることは、担当がその場で決める。 それだけで、話す時間が半分になります。
3つ目。逆に、全部を分けてしまう。 分けすぎると、隣が何をしているか分からなくなります。 4人なら、分けるのは3つか4つで十分です。
分けすぎのしるしは、こういう形で出ます。 「それはBさんの担当だから」と言って、気づいたことを言わなくなる。 分けるのは、責任の所在をはっきりさせるためであって、口を出してはいけない範囲を作るためではありません。
「担当はBさんだが、気づいたことは全員が言う」。 これを最初に決めておくと、分けても止まりません。
言われた側も、言われたとおりにする必要はありません。 聞いたうえで、担当が決めます。 意見を言うことと、決めることは別だからです。この回の最初に書いた「仕事と権限は別」が、ここでも効いています。
ひとりでは決められないこと
会社法第362条は、株式会社について取締役ひとりに任せてはいけないことを定めています。取締役会が決めなければならないものです。
大きな買い物と、大きな借金です。 法律が線を引いているのは、取り返しがつかないことだからです。
チームの線引きに直します
決め方を先に決めておく
意見が割れたときにどうするかを、割れる前に決めておいてください。
多数決にするのか、担当者が決めるのか、全員が納得するまで話すのか。
どれが正しいということはありません。 ただ、決めていないと、割れたときに「決め方」から揉めます。
3つの決め方と、向き不向き
第12回で見たとおり、会社では株主総会で過半数、大事なことは3分の2以上という線が法律で引かれています。会社の場合、その線は法律が引いています。 チームには法律がないので、自分たちで引きます。
ここで迷う人が多い ② 決め方が決まらない
止まり方は3つです。
1つ目。「決め方を決める」こと自体でもめる。 そのときは、いま決めなくてよいことを外してください。 全部の決め方を先に決める必要はありません。「戻せないこと」の決め方だけを決めれば足ります。
2つ目。多数決にすると、いつも同じ人が負ける。 負けた側に、別の権限を渡してください。 「方向は多数決だが、資料の作り方はBさんが決める」。全部で負ける形にしないことです。
3つ目。決めたあとで蒸し返される。 決めたことを紙に書いてください。 1行で構いません。「11月◯日、値段は800円に決めた。理由は◯◯」。書いてあると、蒸し返しは減ります。
【考えてみてください】自分たちのチームで、いま誰も担当していない仕事は何ですか
1つ挙げてみてください。 誰かがやっているつもりで、実は誰もやっていない仕事です。
この問いの答えは、このページのどこにも書いていません。 授業で聞きます。
挙がったものが、この回の最初の仕事になります。 名前を書けば、それで決まりです。
見つけ方のヒントだけ書いておきます。 「あれ、どうなったっけ」と思ったことを探してください。 誰かがやっているはずだと思っているものが、たいていそれです。
もう1つの探し方。 ここまでの回で「次までにやること」と書かれていたものを見返してください。やっていないものがあれば、それは誰も担当していない仕事です。
人が動くとき
役割を割り当てても、それだけでは動きません。動くのは、次のどれかが揃ったときです。
これは、みなさん自身がこの授業で経験してきたことでもあります。企画を自分で選び、自分で確かめてきました。 人に頼むときも、同じ形にできます。
何のためか分からないまま頼まれたら、聞いてください。 「これ、何に使うんですか」。聞くだけで、やりやすくなります。
組織の形は、大きさで変わる
3人でやっているときと、30人でやっているときでは、うまくいく形が違います。
3人なら、全員が全部を見られます。 誰が何をしているか、話さなくても分かります。決め方も、その場で話せば足ります。
人が増えると、見えなくなります。 そこで、担当を分けて、決める人を決めます。分けると速くなりますが、分けたぶん、隣が何をしているか分からなくなります。
どちらが正しいということはありません。 いまの人数に合った形を選びます。チームが4人なら、4人に合った形で十分です。 会社の組織図を真似する必要はありません。
見えなくなったときに、何をするか。 分けたぶんを、つなぎ直します。週に一度、全員が何をしたかを1行ずつ言う。 それだけで、たいてい足ります。会議を増やすのではなく、短いものを1つ置く、という形です。
人数ごとの目安
2コマ目からピッチ資料を作る
2コマ目から、最終回のピッチ資料を作り始めます。
資料は5〜7枚。チームで育てた同じ企画をもとに、一人ひとりが別々の資料を作ります。 調べたデータは共有なので、調べ直す必要はありません。何を前に出して、何を削るかが変わります。
7枚の中身と、どの回のものを使うかは、最終回のページに一覧があります。第2回から第10回までのアウトプットが、そのまま材料になります。
骨組みの作り方
いきなり資料を作らないでください。 順番があります。
聞いた話は、そのときのメモを見ます。内訳は、第10回の見積りを分け直します。
1枚あたり、いちばん言いたいことの決め方
4番でつまずく人が多いところです。 決め方を1つ書いておきます。
その枚を1行で言うとしたら何か、を書いてみてください。 「この企画は、郡山市内の学生に向けたものです」。1行で言えないなら、その枚に2つのことを詰め込んでいます。
2つあるなら、どちらかを別の枚に移すか、片方を落とします。 7枚しかないので、1枚に2つ置くと、聞く側は両方とも覚えられません。
書いた1行は、そのままその枚の見出しになります。 上に置く言葉を、別に考えなくて構いません。
ここで書き方が2つに分かれます。
- 話の題名を書く … 「市場について」「値段」「使いみち」
- 言いたいことを書く … 「市内に◯人いて、そのうち届けられるのは◯人です」
下の書き方にしてみてください。 題名だけを置くと、その枚を見ても、何が言いたいのかは分かりません。 聞いている人は、話を全部は覚えていません。あとまで残るのは、見出しです。
できているかは、こう確かめられます。 その枚から、見出しと、数字の出どころだけを残して、あとを隠します。 それを見た人が、この枚で何を言いたいのかを言えるか。
言えたなら、言いたいことが書けています。 言えないなら、まだ題名のままです。 見出しが「値段」だけでは、何も言っていません。「◯円で売って、1つあたり◯円残ります」なら、言えます。
自分では確かめにくいので、チームの人に見てもらってください。 見出しと出どころだけを見せて、「この枚は何の話だと思う」と聞きます。違う答えが返ってきたら、見出しを書き直します。
確かめるのは、中身を作る前です。 見出しが決まっていれば、中身は、その1行を支える材料だけで足ります。 何を載せるかで迷う時間が減ります。
書いた1行は、話すときの最初の一言にもなります。 当日の使い方は、最終回のページにあります。
集める額を、ここで選ぶ
100万円か1000万円の二択です。 1コマ目の終わりに決めます。
- 100万円 … 個人で始める規模。人を雇わない、大きな設備が要らない
- 1000万円 … 人を雇って始める規模。店を出す、開発を発注する、在庫を持つ
第10回で出した見積りを見て決めてください。 見積りが遠いほうを選ぶと、6枚目(お金の使いみち)が書けなくなります。
「余ったら貯めておきます」では、投資家役は納得しません。 理由が言える余りは、余りではありません。
見積りを直すなら、「これも要る」と気づいたから直すのであって、額を埋めるために直すのではありません。 ここは、第5回で「調べた数字を動かさない」と言ったのと同じ話です。
ここで迷う人が多い ③ 100万円か1000万円かを選べない
止まり方は3つです。
1つ目。見積りが300万円くらいで、どちらにも遠い。 どちらを選んでも構いません。 100万円なら「まず小さく始めて、うまくいったら追加で集める」。1000万円なら「最初から半年ぶんの運転資金を持っておく」。どちらの説明も成り立ちます。理由を言えるほうを選んでください。
2つ目。1000万円のほうが大きく見えて格好いい気がする。 選ぶこと自体が判断として見られます。 大きい額を選んで使いみちが書けないと、見積りをしていないことがそのまま伝わります。
3つ目。見積りが出ていない。 第10回の課題に戻ってください。これは、いま作れます。 大きく3つか4つに分けて、それぞれいくらか。それだけで選べます。
自分たちの企画で、順番にやってみる
- 誰も担当していない仕事を1つ書き出す … 【考えてみてください】で挙げたもの
- 仕事と権限を、表にする … 4行か5行で十分
- 戻せないことに線を引く … 金額でもよい
- 割れたときの決め方を決める … 「戻せないこと」の分だけでよい
- 集める額を選ぶ … 見積りに近いほう
- 7枚の見出しを書く … 中身はまだ書かない
表と、選んだ額が出せたら、この回は通っています
うまい組織図を作れたかどうかではありません。 誰が何をやり、誰が決めるか。そして、いくら集めるか。 これが書けていれば十分です。
うまくいかないときは
チームで人数が偏っている。 少ない人数のチームは、1人が複数の担当を持って構いません。 表の行を減らしてください。
誰も決めたがらない。 順番に回してみてください。 「今週はAさんが決める」。決めることに慣れると、担当を決めやすくなります。
資料を作る時間が足りない。 骨組みの4番まで(各枚の見出しまで)で止めて構いません。中身は最終回までに足せます。 骨組みが無いまま中身を作り始めると、間に合いません。
チームの中で、集める額が人によって違ってしまう。 それで構いません。 資料は一人ひとり別々に作ります。同じ企画でも、100万円で始めると考える人と、1000万円で始めると考える人がいてよいのです。 選んだ理由が言えれば、どちらも成り立ちます。
役割を決めたのに、そのとおりに動かない。 たいてい、決め方のほうに理由があります。 担当を決めたのが多数決で、その担当が反対していた、という形になっていないか見てください。手を動かす人が納得しているかどうかが、いちばん効きます。
次の回までにやること
このページの下に課題が5問あります。Teams から提出してください。締切は次の授業の前日の正午です。
資料の骨組みを、7枚ぶん作ってきてください。 中身は箇条書きで構いません。何をどの枚に置くかが決まっていれば、最終回までに間に合います。
次が最終回です。 一人ずつ、投資家役に向けて話します。このページで選んだ額が、そのまま6枚目になります。
最終回のページを、いま一度開いておいてください。 7枚の中身と、当日の流れが書いてあります。聞く側として何をするかも書いてあります。 自分の番でないときにやることが決まっているので、先に読んでおくと、当日に慌てません。
骨組みができたら、一度声に出して読んでみてください。 7枚を、見出しだけで読みます。それで話がつながっているかどうかが、いちばん早く分かります。 つながっていなければ、枚の順番を入れ替えます。中身を作る前なら、順番はいくらでも入れ替えられます。
配布資料
課題
この課題について
正解が1つに決まる問題ではありません。 調べて書いても、考えて書いてもかまいません。 外れていても構わないので、まずは自分なりの答えを出してみてください。 自分で決めてから解説を読むと、そこがいちばん頭に残ります。 各問に字数の目安を添えてありますが、あくまで目安です。 ぴったり合わせる必要はありません。
- 提出は Teams の課題から
- 締切は 1月21日(木)正午
- 解説は次の回に、Teams でリンクをお知らせします
問1
やらされていると感じた作業と、自分から進んでやった作業を、それぞれ1つ教えてください。
何が違ったと思いますか。
目安 150〜250字
問2
自分たちのチームで、誰が何をやるか(仕事)と、誰が決めてよいか(権限)を書き出してください。
そのうえで、ひとりでは決めないことを1つ挙げてください。理由も書いてください。
目安 150〜250字
問3
集める額を、100万円か1000万円のどちらかに決めてください。
なぜその額を選びましたか。 第10回で出した見積りと、どうつながっているかを書いてください。
目安 150〜250字
問4
今回わかったことを踏まえて、自分たちの企画はどこが変わりましたか。 変わらなかった場合は、そのままでよいと判断した理由を書いてください。
たとえば「お金を払う人は使う人だと思っていたけれど、別の人かもしれないと気づいた」のように、前はこう思っていた/いまはこう思う、の形にすると書きやすくなります。
目安 100〜200字
問5
今回の授業で、いちばん分からなかったこと、もやもやしたことを教えてください。 課題の答えではなく、授業の内容についてです。 うまく言葉にできなければ、授業のどのあたりだったかだけでも構いません。
目安 50〜150字
この回の参考文献
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第11〜13回で引いた条文の本文です。条文そのものが無料で読めます。第104条(株主の責任)から見てみてください。
THE TEAM 5つの法則
第13回の続き。目標・人選・意思疎通・意思決定・共感の5つに分けてあります。「決め方を先に決める」がなぜ効くかも、ここで出てきます。